呼吸器感染症(百日咳・マイコプラズマ肺炎・RSウイルス感染症)について
百日咳・マイコプラズマ肺炎・RSウイルス感染症等の呼吸器感染症は、いずれも咳やくしゃみ、ウイルスのついた手指を通じて感染します。普段から手洗いをしっかり行いましょう。咳がある場合はマスクを着用するなど咳エチケットをまもりましょう。

百日咳
百日咳は百日咳菌によって引き起こされる呼吸器感染症です。特有のけいれん性の咳発作が特徴で、いずれの年齢でもかかりますが、小児が中心となっています。乳児では重症になり、肺炎、脳症を合併し、まれに死に至ることもあります。

感染経路
・百日咳菌が含まれた、くしゃみや咳のしぶきを吸い込むことで感染します(飛沫感染)
・百日咳菌で汚染された手で、口や目などを触ることで感染します(接触感染)

症状と経過
感染して7から10日で症状が出現します。症状は3期に分かれます。
1.カタル期(約2週間)
かぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増えて程度も激しくなります。この時期が最も感染力が強いです。
2.痙咳(けいがい)期(約2から3週間)
次第に特徴ある発作性けいれん性の咳(痙咳)となります。夜間の発作が多いですが、年齢が小さいほど症状は多様で、乳児期早期では特徴的な咳がなく、単に息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ(顔色や唇の色や爪の色が紫色に見えること)、けいれん、呼吸停止と進展することがあります。合併症としては肺炎や脳症などもあり特に乳児では注意が必要です。
3.回復期
激しい発作は次第に減衰し、2から3週間で認められなくなります。成人の百日咳では咳が長期にわたって持続しますが、典型的な発作性の咳を示すことはなく、やがて回復に向かいます。全経過で約2から3カ月で回復します。

予防と対策
予防には、生後2か月以降に5種混合ワクチンの接種が有効です。
予防対策のポイントもご覧ください。

マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は、発熱に続いて咳が出現し、解熱後も咳は長期にわたって続くのが特徴です。中耳炎や髄膜炎など合併症を起こすこともあります。
学童期に多い感染症と言われています。

感染経路
・肺炎マイコプラズマが含まれた、くしゃみや咳のしぶきを吸い込むことで感染します(飛沫感染)
・肺炎マイコプラズマで汚染された手で、口や目などを触ることで感染します(接触感染)
・濃厚接触が必要と考えられており、地域での感染拡大の速度は遅いです。

症状と経過
2から3週間の潜伏期間のあと発熱や全身の倦怠感、頭痛、咳などの症状がみられます(咳は少し遅れて始まることもあります)。咳は熱が下がった後も長期にわたって(3から4週間)続きます。
肺炎マイコプラズマに感染した人の多くは気管支炎で済み、軽い症状が続きます(一般に、小児の方が軽症で済むと言われています)が、一部の人は肺炎となったり、重症化したりすることもあります。

予防と対策
抗菌薬(抗生物質)によって治療します。抗菌薬のうちでも、マイコプラズマ肺炎に効果のあるものは、一部に限られています。
予防対策のポイントもご覧ください。

RSウイルス感染症
RSウイルス感染症は、ほぼ全員が2歳までに感染し、その後も一生の間に何度も感染を繰り返すといわれています。
乳幼児では、細気管支炎や下気道の炎症により、呼吸困難を呈し、重症化することもあります。早めに受診し、診断を受けましょう。

感染経路
・RSウイルスが含まれた、くしゃみや咳のしぶきを吸い込むことで感染します(飛沫感染)
・RSウイルスで汚染された手で、口や目などを触ることで感染します(接触感染)

症状と経過
潜伏期間は平均4から6日で、発熱や鼻汁などの症状が数日続きます。多くは軽症で自然軽快しますがが、重くなる場合には、その後咳がひどくなる、喘鳴が出る、呼吸困難となるなどの症状が出現し、場合によっては、細気管支炎、肺炎へと進展していきます。
重篤な合併症として注意すべきものには、無呼吸発作、急性脳症等があります。

予防と対策
特効薬はなく、治療は基本的には対症療法(酸素投与、点滴、呼吸管理など症状を和らげる治療)を行います。
予防対策のポイントもご覧ください。


予防対策のポイント


・子どもも大人もしっかりと手洗いを行いましょう。特に乳幼児をお世話するときにはよく手を洗いましょう。
・咳が出ている場合は、マスクが着用できる年齢の子どもや大人はマスクを使用するのも有効です。
・子どもたちが日常的に触れるおもちゃや手すりなどは、アルコールや塩素系の消毒剤で消毒しましょう。